山乃神 / Mahamayuri(Yamanokami)

井手 康人 / Ide Yasuto

複雑な多神教である日本の宗教と、バリヒンドゥー教を基に、神が降り立つ山の女神を孔雀明王に見たてて描いた。
孔雀明王は元来インドの女神で明王のなかでは菩薩形である。
孔雀は害虫や毒蛇を食べる事から「人々の災厄や苦痛を取り除く功徳がある」とされ、あらゆる病魔を退散させる存在として信仰を集めた。
又、日本人にとって山は祖霊が鎮まり、神霊が宿る聖地であり、山に対する慎みがあった。
自然への畏敬を基盤に、神仏も魑魅魍魎(ちみもうりょう)も渾然一体に溶け込んだ、日本の宗教・文化のあり方を、このコロナ禍に再認識し、祈りを捧げたい。

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