昇陽 / Rising sun

下田 義寬 / Shimoda Yoshihiro

春4月、観光会社の除雪作業に同行して雪深い立山に分け入った。
立山を越えて鞍部を縦走する先に、真冬の剣岳が千尋の谷をはさんで立ちはだかる。山塊は鋭い岩が天に向かってつき出し剣にも似た岩、風雨雪氷に研ぎすまされた急崖の壁が屹立し雪は壁についても風に剥奪され山の素肌を見せるが、そこに氷が付着して陽をあびると鋭く光る。
高層の雲霧は薄紫色に染まり、高い空が雲海を染めはじめ、一瞬山頂の縁に陽がさし荘厳の一瞬。御来光である。刻々と移ろう山々の気韻に魅せられその霊気に包まれる思いを筆にした。

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