刻を聴く / Listening to time

下田 義寬 / Shimoda Yoshihiro

もの心ついた時から、犬と鶏は身近な存在でした。早朝から処々でたくさんの小鳥たちが鳴いているなか、オンドリの刻の声は際立ち、屏や木の高いところで陣取り、特に立派な赤い鶏冠は威厳があります。
古い柱時計がボンボンと鳴り朝を迎えます。
オンドリは、野生の雉の仲間のセキショクヤケイを飼いならして鳴き声やしぐさなどを楽しんだ人間と有史以前から生活をともにしてきました。オンドリは今も刻を聴いています。
今は鳥インフルエンザのこともあり鶏そのものを見かけなくなりました。
幸いシロレグホンのオンドリを写生する機会があり、自然の不可思議さに挑んでみたくなりました。

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