錯然 / coexistence

宮廻 正明 / Miyasako Masaaki

相反する二つの極を併せ呑むことが吉である。
折れ曲がった枝と、まっすぐ伸びた枝。
元気に花をいっぱいに付けた枝と、枯れた様に花芽をつけていない枝。
白い花と、淡紅色の花。
自然界では、異なった二つの要素を当たり前の様に共存させながら巧みに形を整えていっている。
40年近く前に描いたスケッチと妄想をもとに記憶を手繰り寄せながら、長野県の鬼無里村の山桃の木を再度描いてみた。現在では山里の河原には山桃の老木の姿は既になく、細い若い苗木が育ってきている。
頭の中で、過去と現在が時空を超えて「錯然」の山桃の木が誕生した。

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