桜冷え / A cold morning in cherry blossom season

下田 義寬 / Shimoda Yoshihiro

一年中いつでも桜の花が見られるようになってほしくはない。やはり長い冬があってこそ春の桜がひとしお美しく感じられる。日々あたたかさが増してきて満開の桜を写生するため訪れた里山では夕方名残雪が降った。夜明け前の現場は、田畑がおこされ風にのって菜の花のやわらかい匂いが冷気をやわらげて流れて来る。目の前には春寒のなか満開の桜は、うす日を浴びて静かに神々しく浮かびあがってくる。朝の光線が、桜らしからぬ不可思議な色彩を見せてくれる。この一時にしか出逢えない里山の気配を表現したかった。

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