彼岸の雫 / Drops for Higan

永吉 秀司 / Nagayoshi Hideshi

新潟県内の村上地方では、古くから願掛けの意味を込め布で作った房に小豆を入れ、古祠や寺院に祭る風習がある。それぞれの房の色や形が、人々の願いをひとつの形として形成している。その願いは、待ち人の無事を祈るものであったり、近親者への加護、自身への戒めや祈願であったりするのだろう。人はとても小さきものである。常に拠を求める存在であるその房が雫となり、まるで人々と彼岸との縁をつなぎとめているかのようだ。

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