不二 / Fuji

井手 康人 / Ide Yasuto

バリの踊り子に魅せられ、彼女を描き続けてきました。そのうちに人間の内にあるものから、目にすることはできないけれど、そこにいる神々へと対象は変化していきましたが、コロナ禍でバリへの取材は遠退いてしまいました。そこで改めて日本を振り返ってみると、日本とバリの自然観、宗教観は、岡倉天心の不二一元論を思い起こさせるものでした。「貴方は私であり、私は貴方である。」というバリ・ヒンドゥー教に通じています。これを機に、日本の神の象徴を考えてみました。自然崇拝・信仰を代表する山として富士山があり、日本での題材・主題となる最初の挑戦だと感じています。現在の世界に明るい未来が来る事を願い、富士を不二として描こうと思いました。

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