同人推挙式について
10月21日に新たに同人に推挙された武部雅子氏の推挙式が、11月2日、谷中の日本美術院において、田渕理事長、那波多目代表理事の立ち合いにより執り行われました。
推挙式の様子 左より那波多目功一代表理事、武部雅子新同人、田渕俊夫理事長
新同人を迎えて 田渕俊夫
この度、日本美術院では新たに武部雅子氏を同人に推挙しました。同人とは日本美術院の経営者であり審査員でもあります。また、後輩たちの指導にもあたる重要な役目があります。日本美術院が再興されて今年で109年になりますが、その間に同人に推挙されたのは、117人に過ぎません。日本美術院は同人になるのが非常に難しいといわれている美術団体なのです。
しかし、画家としては同人になるということは一つの通過点に過ぎません。同人になれば、その作品を見る世間の目は今まで以上に厳しくなります。それが同人として通らなければならない道なのです。
武部雅子氏はそれに耐える力は十分にありますので、きっと皆さまの期待に応えられる作品を発表していってくれるはずです。どうか今後とも厳しく、そして暖かく見守っていただけますようお願い申し上げます。
新同人を迎えて 那波多目功一
十一月二日、澄んだ秋晴れの中、田渕理事長と私の立合いのもと武部雅子氏の新同人の推挙式が天心霊社の前で行われました。立派な推挙状が授与され、決意を新たにした事と思われます。私が同人に推挙されたのが三十二年前の事。粗末な紙にガリバンで印刷された推挙状でした。隔世の感があります。
武部氏は優れた才能の持主で早くから将来を期待されておりました。私も大きな関心をもって注目しておりました。この度、同人に推挙された事で目に見えないプレッシャーから解放され、ひとまわり大きくなって羽ばたいてくれる事と思います。期待しております。
同人としての抱負 武部雅子
自身のような者を同人にご推挙頂き、誠に、恐縮かつ勿体ない事だと感謝申し上げます。
私は、恐れ多くも同人というものを知らずに出品し始めました。周りからの立場や、組織の中での立ち位置と役割をどうにか理解しようとしておる自分に気付いたのは昨今であります。
自覚や覚悟を持って役目を果たすべく努力するのは勿論の事ですが、所詮、絵描きである立場に他ならぬ事は必然であり、当然なのです。
己の哲学を通しうる手段は、絵画制作における重要なファクターで、そういった意味での変化は何もないのです。
こんなやっかいな人間が、日本美術院の中で、この様な立場に「独り」位おりましても良いのではなかろうか、とも思います。
同人は「絶対」ではない。無論「終点」でもないのですから。