最も印象に残る1枚の絵 小山 硬
平山郁夫「美術院血脈図」
東京藝術大学創立者岡倉天心が、開校当時の校舎を後方に、馬に乗って芸術の理念と目的に向って前進の合図の如く腕を上げた中心構図であり、樹木には至福として生命感に溢れる小鳥と小花が描かれている。
私が非常に感銘を受けたのは、中心人物天心を囲む如く多くの作家達の肖像が描かれている事である。
我々日本画を描く者の基本である美術院の高い品格と精神性、それを歴史的正統派の大和絵技法(素材に胡粉、岩彩、箔)として見事表現されている絵画である。
人物の中には、創立当時の横山大観をはじめ、靫彦、青邨、古径、土牛、南風といった日本画の重要作家がみてとれる。いつまでも眺めていたい作品である。