Q 日本画特有の技法には、どのようなものがありますか
A
昔、中国から渡って来た紙や、墨といった材料が日本ではより良いものへと伝わっています。日本人の生真面目な性格や完全主義によって、それらの材料をより良いものへと進化させて現在に至っています。ただし、墨だけは中国の古い墨に勝るものは造られていません。中国の十五世紀後半(万歴時代)頃から清時代の乾隆時代(十八世紀)に至る当時の皇帝のために作られた「御墨(ぎょぼく)」の幾つかが現在も残っていますが、これは今の日本の優れた技術でも造ることの出来ない素晴らしいものです。筆も日本人は中心にかたい毛その周囲を柔らかい毛で包むという工夫をして、柔らかい毛だけで造られている中国の筆とは違って、日本画の表現に良くあっているものを生み出しました。岩絵の具という天然の鉱石をくだいて青や緑や赤の色を作るものは日本にしかありません。その他自然の植物から藍や黄、茶緑といった色も作られています。また現代は化学の進歩のおかげで磁器(お皿とかお茶碗とか陶器の材質)に色々着色してそれをくだいて岩絵の具を作るという方法が出来て、今迄なかった様な中間色とか新しい色が出来る様になり大変便利になりました。河原の石や泥などからも灰色の絵の具(黒曜石)や黄土色などが出来ます。