Q 日本画はどういう絵・風景を描くのに適していますか。奥行を考えるような広々とした絵や、一つだけを描く絵など表現できるものか。

日本画Q&A

公開日:2021.12.28

A 

 日本は春夏秋冬とはっきりした四季に恵まれた国土です。従って日本人である私達は生れた時から自然の美しさや、季節による厳しさとともに生きています。その様な私達は自然の移り変わりにとても敏感で、自然に自分達の自然への愛情や感謝の気持を絵で表す様になりました。花や鳥だけを描く「花鳥画」は西洋には存在しない絵です。西欧の人達は花や鳥を描く場合、必ずそれらがどこにあるかという事を描き込みます。モネの睡蓮の絵やゴッホのアイリスの絵、ひまわりなど、その周辺の場所が絵の中に描きこまれます。日本画は真っ白な所に花一輪、鳥一羽描いてあっても見る人は不思議には感じません。それは現実を描いたものではなく、自然と向かい合う喜びの気持を絵にしたものと本能的に解るからです。日本人は本能としてその様な感覚を持っていると思います。広々とした風景や一つのものだけを描くという事も絵では何の不思議もなく実行出来ます。同じ大きさの画面に富士山を描くこと、または一つのリンゴだけを描くということ、描く者にとって、目の前にある紙は自由に小さくなったり大きくなったりする魔法の紙なのかもしれません。