初入選の思い出 清水 由朗
初入選は、印象深いものでした。今でもはっきりと思い出すことができます。それは1986年の再興第71回院展でしたが、大学を卒業した直後であり、自分には失うものが何もない状況で、ゆったりと自由に描けた記憶があります。翌年の再興第72回は、必死になって挑戦したものの見事に落選。入選落選は自分の努力と反比例するような気がいたしました。
努力が報われないとき、一番の不幸を感じるものです。その後も何度か落選の憂き目をみました。そのときに、「これくらい頑張っているのだから」という甘えた気持ちがなかったかどうか?・・・反省しきりです。今考えると、初入選の時には「ダメもと」という割り切った気持ちがあったのかもしれません。迷ったら原点へといいますが、毎回初入選を目指すつもりで頑張りたいと思います。