第33回春の院展に、私は3歳になったばかりの娘を描いた「花を持つ典子」を出品、初入選しました。初日会場で自分の作品を眺めていると「この作品を描かれた人ですか?」と声をかけて下さる人がいました。そして、この絵は賞の候補になり、誰も知らない名前が話題になった事を話して下さいました。
その後、会場の係の方より、その人が松尾敏男先生であることを教えてもらいました。以前から先生の作品が大好きだった私は、すぐ先生のお宅を訪ね入門を許され、勤めていた製薬会社を辞め、絵描き人生が始まりました。
今もその時のことは、鮮明に覚えています。